日本政府、別の原発でも原子炉停止を要請

http://www.nytimes.com/2011/05/07/world/asia/07japan.html

The New York Times, 2011/05/07ニューヨークタイムズ 2011年5月7日

Hiroko Tabuchiヒロコ・タブチ


東京 金曜日[5月6日]、菅直人首相は、日本の中心部にある浜岡原子力発電所に対し、地震津波に対する予防策を強化するまでの閉鎖[原文ママ]を求めた。反原発運動家たちはかねてから、活断層が走っていることが知られている沿岸地帯に建てられた、この老朽化した原発の閉鎖を求めていた。

浜岡原発は東京から西南120マイル[約200km]にあり、3月11日のマグニチュード9.0の地震津波が東北地方の沿岸部を襲って以来、放射性物質を放出しつづけている、福島第一原発よりも40マイル[約65km]ほど東京に近い。

原発運動家によると、浜岡原発の抱えている問題には、津波に対する不十分な予防策が含まれる。それに対して、操業者[中部電力]によると、津波対策は砂丘の存在によって果たされているという。

この浜岡原発を操業停止すべし、との菅首相の判断は、日本の標準からすれば比較的早く下されたと言える。というのも日本では、政治的なリーダーがこうした政策転換を宣言する際には、前もってコンセンサス作りをすることが一般に好まれるからである。

しかし、菅首相はフクシマの災害処理に対する批判を受けて、すっかり評判を落としていた。その批判のうちには、原発事故勃発当初の政府の緩慢な反応によって、事態はいっそう悪化することになった、とする糾弾も含まれている。

金曜日、菅首相は自らの決断を、「浜岡での大事故が日本全体に及ぼしうる甚大な影響を考慮した結果」であると述べた。

日本政府の専門家は、浜岡周辺の地域で、向こう30年間にマグニチュード8.0規模の地震が起こる可能性は、ほとんど90%近いと予測している。日本では近年、これよりもずっと小規模の地震で、少なくとも一つの原子炉がすでに損傷を受けた。

2009年、浜岡原発の操業者である中部電力は、原発にある原子炉のうち最も古いもの2つを廃炉にすることを決定した。この原子炉をアップグレードし、地震のリスクに備えるのは、あまりにもコストがかかりすぎると判断されたためである。これらの原子炉はいずれも1970年代、福島第一原発の原子炉と同時期に建設されたものだ。

電力会社側は、1980年代に建設されたのこりの3つの原子炉は、大地震にも十分に耐えうるだけの安全性を備えているとしてきた。しかし、福島原発における危機の結果、地震津波が日本で稼働中の50近い原子炉にもたらすリスクに対する懸念が高まっていた。

菅首相は、中部電力が浜岡の原子力発電所を再稼働するにあたっては、十分な安全策の強化が求められることになるだろう、と言明した。電力会社は、その要望にかなった防波壁の建設には、二年ほどかかるとしている。

「なんといっても、国民のみなさまの安全と安心を考えてのことであります」と菅首相は述べた。

電力不足のリスクに対処するために、首相はさらに日本の市民に対して、更なる節電を求めた。

東日本の事務所や工場では、政府が夏場に向けて15%の電力の節減を求めたのに対し、すでに照明を落としたり、操業時間を変更したりすることで対処してきた。浜岡で操業中の3つの原子炉は、総計で3500メガワットの発電能力を有しており、この数値は、日本の原子力発電所の発電能力の7%にあたる。

電力不足のリスクは、この地域の住民のみなさまをはじめとする全国民のみなさまが、よりいっそう省電力、省エネルギーの工夫をしていただけることで、必ず乗り越えていけると、私は確信しております」とも菅首相は述べた。

現在もなお浜岡で稼働中の3つの原子炉のうち、ひとつの原子炉はすでに定期点検のため停止中である。電力会社は金曜日、菅首相の要請に対し「迅速に検討する」と発表している。

グリーンピースを含めた環境団体は、ただちに菅首相の決断を評価するとともに、日本政府に対して、地震のリスクの大きい日本にある、すべての原子炉の停止を考慮するよう求めた。

グリーンピースは、菅首相が日本で最も危険な原子炉のひとつである、浜岡原発に対して停止要請を出したことを歓迎します」と日本におけるこの団体の委員長を務める佐藤潤一は述べた。

「政府は既存の原子力発電所を停止・廃止するとともに、新たな原子炉の建設を白紙に戻すべきです」とも佐藤は述べている。「そうした時に初めて、日本の国民は、政府が国民の安全を第一に考えていると納得することができるはずです。」

しかし、元神戸大学教授で、かねてから日本の原子力発電所の耐震基準の強化を訴えつづけてきた、石橋克彦は、浜岡原発の操業停止だけでは十分ではないと主張している。原子炉は、冷却期間中も地震津波の被害を受けることがありうるし、また原子力発電所に蓄積されている使用済み核燃料も同様であると言うのである。「原子力発電所の安全を守るための手段がただちに講じられなくてはなりません」と石橋は言う。

石橋はまた、政府が、日本にある原子炉に地震がもたらしうるリスクを認めるのにあまりに時間をかけすぎたことを指摘した。石橋氏は、すでに2006年に、当時彼が参加していた政府の委員会で、原子力発電所の耐震基準を強化するように求めていたからである。彼は自身の提言が聞き入れられなかったため、そののち、委員会の職を辞したのだった。

「日本が危険に対する対策をもっと早くとっていれば、フクシマの惨事を防ぐことができたはずです」と石橋は言う。

福島原発では、現場の労働者たちが、損傷した原子炉と核燃料プールをコントロールするための苦闘を続けている。3月11日に津波によってすべての電源が失われ、最重要の冷却機能が機能しなくなった結果、原子炉のうち3つがオーバーヒートし、水素爆発を起こしたのだった。この原発は、東京電力によって操業されている。

東京電力は、この間、福島原発のすべての原子炉を冷却停止と呼ばれる安定した状態にもたらすまでには、さらに最低6ヶ月から9ヶ月が必要であると発表した。

東京電力が操業するもうひとつの原子力発電所、柏崎・刈羽原子力発電所は、日本海岸に面しており、既に2007年のマグニチュード6.6の地震で損傷を受けていた。すぐに消し止められたものの、ひとつの原子炉から火が噴き出したのである。この事故について、東京電力側は、広範な放射性物質の放出は見られなかったと発表している。

柏崎・刈羽原子力発電所は、ほぼ二年間にわたって修理と点検のために停止された。その後、7つある原子炉のうち、4つが再稼働された。


(trad. KO)


6.11 脱原発100万人アクション!(全国各地)6月11日は、福島原発震災から3ヶ月。
今なお放射能の放出は続いています。私たちは、人や自然を傷つける電気はいりません。全国各地域の人々とともに、6月11日に脱原発を求める100万人アクションを呼びかけます。6月11日は、声をあげましょう!今こそ脱原発へ!!  http://nonukes.jp/wordpress/

黙ってられない!声を上げよう!!