フクシマ:汲みつくせぬ放射能汚染水(海洋汚染について)


Les Shadoks et l'eau radioactive
http://sciences.blogs.liberation.fr/home/2011/04/fukushima-les-shadoks-et-leau-radioactive.html

Libération Le 4 avril 2011リベラシオン 2011年4月4日


11000トン以上の微量の放射能汚染した水を太平洋に放出し、いっそう汚染のひどい水と入れ替える。

これが今日(4月4日)、日本政府と東京電力当局が選択した対策である。数日前から作業を妨害してきた放射能汚染水という難問を解決するために、本日からこの作業が開始される。

福島原発は水であふれている。とりわけ地下室、トレンチ、井戸など、低い部分では。その水は、まずは津波の水であり、それから事故を起こした原子炉と使用済み燃料プールを冷却するための放水から来る水であり、最後に「本来の」冷却系の一ヵ所ないし数ヵ所から漏れ出した、原子炉の炉心に触れた水である。いずれも放射能を帯びている。とはいえ、その度合いはさまざまだ。最後の種類の水はもっとも危険で、その近くではあらゆる作業ができない。この高度に汚染された水を海に投棄することなく、どのようにして処理するのか? そして海岸線の汚染というこれから来る問題を、悪化させないようにするにはどうしたらよいのか?

原発の敷地内には、平常時から「排液」を貯水するシステムが存在する。排液は、海中に投棄される以前に、放射能レベルの低下を待ち、樹脂によって濾過される。私が東京電力による不明瞭な広報発表をよく理解しているとすれば、海に放出されたのは微弱に放射能を帯びた水であり、その目的は、より放射性の高い水を保管プールに貯めることにある。東京電力によれば、この作業は5日間にわたるという。

この判断は、すでに高い放射線量が検出されている、原発付近の海域の放射能汚染からも理解可能である。フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)環境局長のディディエ・シャンピオンは、原発から300mの地点で、「最高10万ベクレル毎リットル」もの放射線量が確認されたと語っている。

この汚染はどのような影響をもたらすのだろうか? ディディエ・シャンピオンは次のように語る。「人間への健康被害に関しては、海洋への投棄は最優先課題ではありません。まず優先されなくてはならないのは、大気中の放射性降下物や農地土壌の放射能汚染です。汚染の影響は、発電所から見て北方の海岸海域に集中します。長期的には、津波によって壊滅した漁業と養殖業が活動を再開した時のために、海産物および海底堆積物に対する監視体制を整える必要があります。海底に生息する魚類や、より短期的にはヨードをよく吸収し蓄積する褐藻類[例えばコンブやワカメ]など、特定の生物種をよく注意して観察しなくてはなりません。さらに長期的な視点からすれば、もっとも重大なリスクは、海底でのセシウム137の沈殿です。」放射能汚染は、海岸線の潮の満ち干きのリズムにしたがって、ゆっくりと拡散・希釈されていくだろう。さらに沖合では、放射能汚染水は黒潮という大きな海流に乗って、太平洋に拡散・希釈されていく。

原子力発電所内では、冷却システムを再び機能するための作業が続けられている。そして、一群の技術者たちが放射能を帯びた土壌をブロックするために、特殊な樹脂の散布を試みている。政府の予測では、放射能汚染の源泉をすべてブロックするには、なお「数ヵ月」を要することになるだろう。


IRSNは最近になって、福島原発からの液体および気体の排出に起因する海洋汚染について、近隣の海域への拡散や、より大きなスケールで、黒潮による太平洋への拡散についてのシミュレーションを行い、これらについて包括的な報告文書を公開した。[…] その結論は以下の通りである。

「短期的には、福島第一原発の近隣の海岸地帯に面する海洋における食物連鎖の総体が、海水の放射能汚染による影響を受ける危険がある。現時点では、この影響の程度を定量的に計測することは難しい。以下の諸条件に応じて大きな変動がありうるためである。その諸条件は以下の通り。

原発からの排液の放射能強度と継続性
―大気から海水面への放射性落下物
―汚染された土壌から水脈によってもたらされる放射性物質
―沿岸の海域における海水総量の変化

原発付近の沿岸の海域における海藻類、貝類、魚類などの海洋生物を特に注視する必要がある。ただし、これらの海洋生物は、3月11日の津波で甚大な被害を受けた可能性が高い。日本での需要の大きい[コンブやワカメなどの]褐藻類は特にヨウ素との親近性が高い。そのため、ヨウ素131に代表される放射性ヨウ素による褐藻類の汚染の危険がある。とはいえ、放射性ヨウ素半減期が短いことを考慮すれば、この危険が続くのは数ヵ月間にすぎないだろう。

より長期的には、持続的な放射能汚染によって、海底の傾斜部から流された放射性物質を受けとることになる沿岸部の一帯が、影響を受ける可能性がある。

放射能汚染された沈殿物が混ぜかえされることで、海水中および特定の生物種において、ある種の放射性物質が高い濃縮度を維持しつづけることになる可能性がある。

特定の生物種の体内における蓄積によって、海水中における濃縮と比較して、より高度な濃縮がもたらされる可能性がある。生物種における濃縮は、海水中の濃縮に対して、体積比で10倍から数千倍までの割合で高くなりうる。この数値は、問題とする放射性物質と生物種にしたがって変化する。どれほどの蓄積が起こるかは、それぞれの生物種の代謝作用によってさまざまである。例えば、セシウムの場合、貝類と海草類の濃縮比が50であるのに対して、魚類では400となる。ヨードの場合は、魚類の濃縮比が15であるのに対して、海藻類は10000となる。こうした蓄積現象は、人間の食物連鎖に直接・間接にかかわる植物種および動物種における放射性物質の監視計画を必要とする性格のものである。この計画が適用される地理的な広がりは、予防的な観点を持って、地理学的な知見のもとに厳密に確定される必要があろう。」


Sylvestre Huet シルヴェストル・ユエ


(trad. AM)


参考:<JCJ声明>放射能汚染の拡散阻止へ叡智結集、真実の報道に全力を
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/580.html


今週末のデモ・集会
2011/4/16(土)
大阪・中之島公園原発いらん! 関西行動」15:30集会 16:10デモ出発www.jca.apc.org/mihama/annai/demo110416.pdf
東京・明治公園「脱原発社会を作ろう!」緊急デモ 11:30集合 12:00出発
http://civilopinions.main.jp/2011/04/48.html
東京・渋谷・神宮通公園「野菜にも一言いわせて!さよなら原発デモ!」14:00集会 15:00出発
http://beingb.com/yasaidemo/index.html
福岡・警固公園「ママは原発いりません」福岡パレード!14:00出発
http://stopgenpatsu.blog60.fc2.com/blog-entry-5.html

4月17日(日)
京都・三条河川敷「原発もうムリ!4.17鴨川・大風呂敷」
11:00〜日没http://genpatsumoumuri.seesaa.net/
新潟・石宮公園「卒原発デモ」13:30集合 14:00出発
http://www.world-walker.com/cgi-bin/koe2/read.cgi?no=58