「すべて秘密」

http://de.news.yahoo.com/17/20110317/tpl-alles-ist-geheim-4dcee4f.html

Dapd東京支局 2011年3月17日

東京(dapd)。日本の原子炉事故の背後には、ずさんな仕事を見てみないフリをする監督官庁と闇取引をし、スキャンダルを積み重ねてきた原子力企業の体質がある。原子炉の亀裂や放射能事故は、長年にわたって起こっていた不安を催す諸事件の氷山の一角にすぎない。こうした事件は、仮に公表されたとしても、ずっと後になって公表されたものばかりである。「すべてが秘密です」とスガオカ・ケイ氏は言う。彼は原子力技師として日本で働き、いまはカリフォルニアに住んでいる。「日本の原子力業界は情報の透明性が不十分です」。

スガオカ氏は、今回破損した福島第一原発を操業している東京電力でかつて働いていた。1989年、スガオカ氏はぞっとするような命令を受けた。それは、原子力監督官庁に提出する映像記録から蒸気管の亀裂を示す映像を消去するようにというものであった。スガオカ氏は東京電力の上司たちに警告をしたが何も変わらなかった。2000年、スガオカ氏はこの事実を公表することを決心。東京電力の役員3名が解雇された。

こうした大量のスキャンダルともみ消しは日本の原子力産業への信頼を損ねている。世論の不信はここ数日間の危機でさらに増長している。今回の事故について、政府による情報の隠蔽が行なわれたという証拠はない。けれども、行政機関と東京電力の報告における詳細情報の欠如と不明瞭さは市民の怒りとフラストレーションを掻き立てている。

「私は連中を信じない」と東京のタクシー運転手のクガ・タケト氏は言う。この事故のあった発電所から220キロメートル離れた日本の首都で、すでに放射能の上昇が計測されている。このところ、クガ氏は急いで東京から逃げようとする人々を空港と駅まで乗せるのに忙しかった。放射能の値の情報が、公式に発表される数時間前にすでにインターネット上に出ており、それが彼をナーヴァスにさせる。「私は自分が安全だと感じない」と彼はいう。

資源の乏しい工業国である日本は、核エネルギーに大きく依存してきた。54基の原子力発電所がエネルギー需要の30%をまかなっており、2基が建設中、12基が建設の計画中である。11の電力エネルギー供給会社は(そのうちの多くが原子力発電所を運営している)、地震前の金曜日に990億ユーロ[約11兆円]の価値を有していた。首都圏の電力供給会社である東京電力は、そのほぼ3分の1を占めているが、その株価は事故以来65パーセントも暴落している。東京電力は事故の数ヶ月前、40年も使ってきたこの福島[第一原子力発電所]の1号機に対して、さらに10年間の操業延長を許可された。

政府の非常に強い後ろ盾と意見の対立を好まない社会のなかで、監督者は、厳格に安全を追求しようとしなかったと、アメリカのエネルギー専門家であり、環境保護運動家のアモリー・ロヴィンス氏は述べている。「結局のところ、それは、原発の操業や監督について、それほど厳格にやらなくてもいい、というお墨付きを与えているに等しい」。

いずれにしても、多くの専門家が、いつでも地震の起こりうるような国で原子力発電所を建設するのは危険すぎるとみなしている。「豆腐のかたまりの上に建設するようなものだ」と東京の原子力資料情報室のフィリップ・ホワイトは述べている。この情報室は、1975年に設立した原子力反対者たちのグループである。原子力発電所の経営者たちについて彼はこう述べている。「かれらを信頼する理由なんてまったくないよ」。

これまでも原子力発電所の事故は頻繁に起こった。2007年になってようやく地震の際、柏崎刈羽原発が機能不全に陥った。火災が起こり、配管が破裂し、放射能を含む水が漏れた。しかし、放射線は施設から漏れなかった。

1999年、東京の北東にある東海村のウラン再処理施設で労働者たちが手で再処理を行い、ウランを鋼鉄のバケツのなかで混合していたことが明らかになった。しばらくして二名の労働者が死亡した。制御できない連鎖反応にさいし、数百名が被曝し、数千人の住民が避難させられた。

1997年、同じ東海村での火災と爆発ではすくなくとも37名の作業員がわずかに被爆した。事業者側[動燃(当時)]はのちに、事故の情報を最初隠していたことを認めた。

東京電力の場合も、数十年来、さまざまな事件を起こしている。たとえば1978年には、福島の原子炉のなかで制御棒が落下した。しかしこの事件は、届け出を義務づける明確な規定がなかったため、報告されなかった。2006年には福島で放射能を含む水蒸気が周辺地域に漏れ出ている。

現下の事件に関して、危機管理の専門家であるタナカ・タツミ氏は、当面の間、政府にとって新しい原子力発電所を認可することは困難になるかもしれない、と考えている。「責任者たちは、今回の事故でも失敗している。ただちに危機対策本部を設置し、信頼できる外部の専門家の参加を求めるということをしなかった」とタナカ氏はいう。

事故がつぎつぎと起こるあいだ、東京電力原子力安全・保安院、そして政府の代表者たちはそれぞれの度重なる記者会見でしばしば矛盾した情報を流したとタナカ氏はいう。タナカ氏によれば、こうしたことは、ただ不安を増長し、情報をまともに公にしていないという印象を与えるだけだ、という。「かれらは人々の恐怖をただ大きくしているにすぎない」。


AP通信
http://de.news.yahoo.com/17/20110317/tpl-alles-ist-geheim-4dcee4f.html

(trad. TF)


参考:原子力資料情報室CNIChttp://www.cnic.jp/