日本政府、フクシマの退避区域を拡大せず

LEMONDE.FR avec AFP | 31.03.11 | Mis à jour le 31.03.11 | 20h45
ル・モンドおよびAFP 2011年3月31日20時45分更新

http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/03/31/tokyo-exclut-d-elargir-la-zone-d-evacuation-autour-de-fukushima_1501537_1492975.html


国際原子力機関IAEA)とグリーンピースが、退避区域外のいくつかの村で検出した高い放射能の数値にもかかわらず、日本政府は3月31日木曜日、事故を起こした福島の原子力発電所周辺の退避区域を拡大しようとはしなかった。現在までのところ、原発周辺の退避区域は20キロメートル四方となっており、政府はさらに20キロメートルから30キロメートルの区域の住民にも退避を「強制」はしないものの「推奨」するとしている。

木曜日(31日)、福島原発を操業する東京電力は、原発の地下15メートルの深さの地下水脈から、放射性のヨードが検出されたと発表した。水曜日(30日)、IAEA福島第一原発から北西に40キロメートルの地点で高いレベルの放射能が測定されたと警告した。「この測定によると、飯舘村では、IAEA退避勧告する際のいくつかの数値のひとつについて、基準以上の値が確認された」 とIAEA保安・安全部長のデニス・フローリーは明言した。IAEAの緊急・事故対策センター長のエレナ・ブグロヴァによると、IAEAの専門家は、1メートル四方2メガベクレルを検出した。この値はIAEAが退避を勧告する基準値の二倍にあたる。

飯舘村は、3月11日の津波で被害を受けた福島原発の40キロメートル北西にある。さらにフローリー氏は「われわれは日本側の窓口に対して、状況を慎重に判断するよう求めた」と加えた。


「政治的判断で科学を無視するな」
グリーンピースは、週のはじめから、この村の状況について警告を発している。このNGOの専門家たちが、一時間あたり10マイクロシーベルトの危険な放射能の値を検出したからである。グリーンピースでは、「住民が飯舘村に残るのが良くないことは明白です、子供や妊婦についてはとりわけです」と言い、日本の当局者に対して、「政治的判断で科学を無視することを止め」、退避区域をさらに10キロメートル拡大するよう求めている。しかし東京[日本政府]は、これらの数値を「信用に値しない」と見なしたのである。

この木曜日、枝野幸男内閣官房長官は「そういった措置をとるような性格のものではないと考えております」と返答した。さらに原子力安全・保安院の責任者は、住民は「心配しなくてよい」と付け加えた。

一方、原子力発電所周辺の海でも放射能のレベルが上がりつづけており、東京電力は、規定の4385倍の放射性ヨード濃度を検出した。この値は、マグニチュード9の地震津波によって原発事故が発生して以来、最も高いヨード131のレベルである。

日本の首相である菅直人は、木曜日、危機にある原発廃炉にすると明言して、その操業者である東京電力に対してさらにプレッシャーをかけた。日本の電力供給者のトップである東京電力は、この木曜日、ムーディーズの格付けで三つレベルを下げた。


(trad. KO)



参考1:「福島・飯舘村で子ども村外避難検討 村長、全村避難は否定」(4月1日)http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110401t61045.htm


参考2:「福島の市民団体、小学校の放射線調査を要望」(3月31日) 東京電力福島第1原発事故で、県内の小学校の放射線量を独自調査している市民団体「原発震災復興・福島会議」(福島市)は31日、一部の小学校で高い数値の放射線量を測定したとして、県に詳細な調査と対策を取るよう申し入れた。
 同会議が29、30両日、福島市と同県川俣町の7小学校の校庭で、携帯型の放射線測定器を使って計測。福島市内の1校では県のモニタリングより数値が数十倍高かったという。同会議は「始業式も近く、早急な対策が必要だ」としている。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110331/dst11033113210020-n1.htm


参考3 :「原発震災復興・福島会議 プレスリリース」(3月31日)原発震災復興・福島会議
(……)
世話人 中手聖一)
2011年3月31日
 私たちは東北地方太平洋沖地震を契機に発生している、東京電力福島原子力発電所事故を伴う今回の災害を原発震災と位置づけ、これ以上の被害を1日も早く最小限に収めると共に、震災からの復興を目指して行動する市民のグループです。
 緊急の簡易調査「福島県内小学校校庭の放射線・地表面サンプリング調査」を行い、本日、福島県知事と教育委員会に報告しました。
 調査の結果は、私たちが感じている以上に早く、子供たちの環境に放射能汚染による危険区域が形成されつつあることを示唆しています。子供たちの安全・安心を確保するためには、学校特に校庭の放射能汚染状況および地域・区域における放射性物質の移動状況について、緊急に調査をして対策をとることが必要であるとの見解を表明します。
 そして、各市町村がこの汚染の影響を考慮できずに、始業式を急ぐことがないよう県からのご指導をお願いしました。
 また、本調査の結果を広く県民の皆さんに知っていただくため、報道関係者のご協力を得たく、記者会見を開かせていただきました。よろしくお願いします。
 なお、このような危険区域の形成は、今回調査した場所だけの現象とは考えにくく、県民の皆様から測定の希望があれば、できるだけ応えて行きたいと考えています。小さな市民グループのため人手もあまりありません。ボランティアで手伝っていただける方も募集しています。
以上」

連絡先は以下「福島老朽原発を考える会(フクロウの会)」http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/post-f466.html


追記(4月4日)
昨日4月3日の報道によると、飯館村・川俣町の0歳から15歳までの子供900人を対象とする甲状腺被爆検査で、危険な水準に達している例は発見されなかったとのこと。枝野氏:甲状腺被ばく、危険な水準の子供いない−飯館村などで調査
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=aCeyo6Sp.2tA
しかし、原発事故の収拾のめどが立っておらず、いっそうの長期化が避けられない以上、被爆の影響が大きいとされる子供をはじめとする住民に対しては、ありうる最大限のリスクを想定したうえで、避難を含めた予防的な対策を慎重に考慮するべきだと思われます。以下は今日の報道から。
飯館村に屋内退避を提言 京大助教ら、現地で放射線量調査(ただし調査は3月28、29日付)http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011040490161402.html