東京で数千人の反原発デモ

http://abonnes.lemonde.fr/japon/portfolio/2011/04/24/a-tokyo-des-milliers-de-manifestants-contre-le-nucleaire_1512271_1492975.html

LE.MONDE.FR 24.04.11 12h41ル・モンド 2011年4月11日 12時41分

4月24日の日曜日、東京の都心で、数千人が脱原発再生可能エネルギーの発展を求めてデモを行なった。

3月11日の地震津波の後の福島原発事故の発生から一ヶ月以上もたって、東京のデモ参加者たちは「さらば原発」、「ノーモア原子力」などと訴えるのぼりを手に街路に繰り出したのだ。

「私たちは不安を抱えています。フクシマの以前には、そんなこと考えてもみませんでしたが、いまは自分が動かなくては、子供たちのためにも動かなくては、と思っています」と、イイノ・ヒロシ(43歳)は言う。彼は、「エネルギーの転換」を望んでいる。

日本グリーンピースの委員長である佐藤潤一によれば、現在まで日本で反原発デモがそれほどの人を集めていないのは、28000人にも及ぶ死者・行方不明者を出した惨事のためだという。「これまでは、まず犠牲者たちに関心が集中してきたのです」。

「反東電」―「東電」とは福島原発の操業者の名である―のスローガンの下で組織されたもう一つのデモは[原文ママ]、同時刻に都心から数キロの芝公園から出発した。こちらのデモにも数千人が集まった。

とはいえ、脱原発の可能性については、まだ日本の政治の舞台でおおっぴらに議論されるにいたってはいない。


(trad. K0)


参考:
チェルノ事故25年で市民集会 中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201104250165.html
チェルノブイリからフクシマへ「同じ道たどらないで」 朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/0424/TKY201104240184.html
原発止めろ」と東電までデモ 市民団体など4500人‎ - 47NEWShttp://www.47news.jp/news/2011/04/post_20110424181741.html
原発停止求め4500人デモ‎ - NHKhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20110424/t10015521461000.html

集会・デモ行進:「原発反対」被爆者ら訴える−広島 毎日新聞http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20110425ddlk34040550000c.html
市民に「脱原発」行進し呼びかけ‎ 朝日新聞
http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000001104250001
広島の原発反対集会に400人‎ - 中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201104250002.html
石川・志賀町議選 反原発の元職がトップ当選‎ 朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0424/OSK201104240057.html
世田谷区長に脱原発、保坂氏 「新エネ開発拠点に」‎ - 河北新報http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/2011042401000787.htm
原子力と共生、敦賀市は河瀬氏5選 脱原発訴える候補なく 47NEWS

http://www.47news.jp/news/2011/04/post_20110424233600.html

プルトニウムとミッキー・マウス

http://www.economist.com/node/18488463

The Economist 31st March 2011エコノミスト 2011年3月31日
日本の原子力危機は延々と長引いている。東京電力と日本のエネルギー政策の深刻な失敗をさらけだしながら。

 日中だというのに、世界最大の民間電力会社の本部はまるで墓場のような暗さだ。役員たちは頭を垂れ、東京電力(TEPCO)が引き起こした事態について、かぼそい声で謝罪した。同社社長、清水正孝氏(66歳)は、3月30日、高血圧のために入院。この三週間、氏はほとんど出社していない。薄暗がりのなか、同社のビルに浮かぶTEPCOのロゴは、ミッキー・マウスの変異体のようだ。

 およそ250km離れた福島第一原発では、東京電力の数百名の社員といくつかの下請け業者の社員が、損傷を受けた三つの原子炉や使用済み燃料のあちこちから、放射性物質がさらに漏れ出るのを防ごうとしている最中だ。彼らをとりまく状況は、ほとんど我慢の限界を超えている。彼らが被曝する放射線量は、時には数時間で、年間許容量とされている値よりも多くなる。食糧はビスケットと缶詰め。毛布はひとり一枚。寝るのは床の上だ。なかには、27690名の死者・行方不明者をもたらした津波のために、家や家族を失った者もいる。東京電力は、彼らを一兵卒とみなしている。「私たちは、彼らが英雄だとは思っておりません。彼らはすべきことをしているだけです」とある役員は言う。


 日本の原子力災害に関する非難の大半は、東京電力に向けられている。この三週間の間、政府当局は、津波によって損傷を受けた冷却装置の電源を再接続することで、原子炉の制御機能を回復できるだろうという望みを語ってきた。これらの冷却装置は、核燃料が、原子炉格納容器を保護するスチールケースを溶融させたり破裂させたりするのを防いでくれることになっている。

 今週になって、高濃度の放射能汚染水の水溜まりが大量に発見され、原発付近の海水の放射能レベルが上昇した。こうした事象は、政府当局の言う制御機能の回復が、現実にはどれほど程遠い状況にあるかということを明らかにした。これまでの数回に及ぶ放射性ヨウ素セシウムの放出は、少なくともひとつの原子炉の中心部から放射性物質が漏れ出てきたことを示している。新しい調査結果が示唆しているのは、この種の放出を阻止するために設計された冷却装置に、ひどい障害が生じている可能性があるということだ。汚染水をためるタンクは、結局はいっぱいになるだろう。そして、状況は、現場で働く者たちにとって一層危険なものとなるだろう。要するに、冷却装置を修理したり、きちんと機能している計測器をつないだりするには、もっと多くの時間がかかるということだ。

 福島原発はあまりに惨憺たる損傷を受けたので、東京電力としても、この危機がいつ終息するのかを言えなくなっている。放射能の拡散は場所によって一定しないとはいうものの、その濃度は総じて下降してきている。しかし、3月31日の報告は、原発から40km離れた村で検出された放射能が、避難のための基準値を上回っていることを明らかにした。また、国際原子力機関IAEA)は、日本政府はこれまでよりも避難地域を20km拡大したほうがよい、と示唆している。こうした事柄のすべてが、原発周辺の地域が長きに渡って安全ではなくなるかもしれないという不安を倍増させてきた。

 想起すべき過失はたくさんある。東京電力は、タービン建屋の一棟で計測した汚染水の放射能レベルが、実際には基準値の10万倍であったにも関わらず、1000万倍である、という誤った発表を行った。もちろん、10万倍という値も十分に危険ではあるのだが。東京電力のために働く下請け業者は、ウェブサイト上で自社の労働者たちの身の安全について苦情を訴えていると伝えられている。3月24日には、三人の電気工が危険な水溜まりに足を踏み入れるという事故が起きてしまった。その後、汚染水の放射能を計測するために用いられた計器が、毎時1000ミリシーベルト以上を測定できなかったということも、準備不足のしるしのひとつだ。毎時1000ミリシーベルトとは、ただちに健康への脅威をもたらすレベルである。

 東京電力菅直人を擁する日本政府との間の緊張は、同首相が同社本部の中に原子力災害対策本部を発足させて以来、高まってきた。私的な見解として、何人かの政府要人が、東京電力は自社の原発を救うために、原子炉を冷却するために海水を用いることに難色を示していたのかもしれない(同社はこのことを否定しているが)、と示唆した。菅首相は、公然と同社の津波災害対策を痛罵した。玄葉光一郎国家戦略担当相も、東京電力の国有化の可能性に含みを持たせた。もっとも、これはおそらく彼の選挙区である福島の有権者たちがきちんと補償されることを示唆して、彼らを安心させるためだろう。ほかの東電役員たちは、国家の介入に関して言質をとられないようにしてきたが、東京電力の株式は3月11日以来、75%以上も値下がりした。

 社外の専門家たちによれば、原発の操業における度重なる不備のせいで、同社の役員会からは原子力エネルギーの研究者たちがいなくなってしまったという。清水正孝氏は、続けて原子力事故に見舞われることになった三人目の社長に当たる。「この会社は本当に骨の髄まで腐りきっています」と述べるのは、かつては原子力エンジニアでもあった経営コンサルタント大前研一氏だ。大前氏は、東京電力が、原発敷地内にあまりに大量の使用済み核燃料を貯めこんでいること、同じ場所にあまりに多くの原子炉を設置していること(福島第一原発には六機の原子炉が、また新潟の活断層の上にある原子力施設には七機の原子炉がある)、そして十分に多くの電力源を持っていないことを非難している。


 しかし、問題は単に東京電力にはとどまらない。経済産業省原子力の規制を管轄し、その安全性についての責任を負っている。しかし、この同じ官庁が同時に原子力産業の推進を図っているのである。伝えられるところによると、菅首相はこの構造を変革することを考慮していると言う。大前氏によると、原子力科学者たちのほとんどは電力会社によって資金援助を受けており、彼らの自律性は疑わしい。大前氏によると、こうした原子力科学者たちは、政府の原子力安全行政において、「クリスマスツリーの飾り」のようなものにすぎないのだ。

 さまざまな問題が絡みあっている。野党である自民党河野太郎は、経産省と、その管轄下にある原子力の規制にあたる委員会と、原子力産業のあいだには、「いかがわしい三角関係」があるという。河野太郎事務所によれば、経産省の元官僚であった石田徹は、退職後ただちに東京電力の顧問に迎えられている。河野氏はさらに、マスメディアもまた大量の広告を通じて、原子力産業に牛耳られているという。

 日本にあるテンプル大学現代アジア研究所で東京電力を専門的に研究しているポール・スカリーズは、現在の東京電力の「悪魔化」は、一方で政治家や官僚や電力会社が、自分たちに向けられる非難を避けるために起こっていると主張する。彼が指摘するのは、原子力エネルギーの導入が、1973年のオイル・ショック後の国民的な決断であったことだ(日本は石油の99%を輸入に頼っている)。しかしスリー・マイル島とチェルノブイリの事故の後、原発が設置される地域の住民たちは、うちの庭には原発を置かないでくれ、といった態度をとるようになった。電力会社と政府はこれに対して、税制上の便宜や補助金をはじめとするさまざまな懐柔策をとった。その結果、日本の電気代は、富裕な国の中でも有数の高額なものになったのだという。

 さらに東京電力をはじめとする諸企業は、地域住民の反対運動にもかかわらず、新たな原子力発電所を建設しようと奮闘してきた、とスカリーズ氏は言う。だからこそ、[福島原発のように]一ヵ所に数多くの原子炉が集中することにもなったのだ。電力会社が使用済みの核燃料棒を原子力発電所の敷地内に貯めてきたのも、そうした燃料棒をどこかよそに移すコンセンサスがとれなかったからだ。その一方で、発電所が不足しているため、余剰電力は過去20年間にわたって低下しつづけている。

 地震津波の後、東京電力がすでに設置している発電所は、原子力エネルギーによるものとそうでないものを含め、およそ28%が閉鎖されたままだ。3月30日、政府はあまりに明白なことを認めるにいたった。すなわち、福島第一原発は廃止されるであろうということ、そして、放射能漏れを止めるために原発を覆う必要があるだろうということを。だとすると、日本の電力供給能力の1.8%が使えなくなることになる。さらに準備の悪いことに、この国の送電は東日本と西日本で異なる周波数でなされており、東西で電気を共有するのを困難にしている。被害を受けた火力発電所が早期に復旧し、より小規模なガスを燃料とする火力発電所が早急に建設されないかぎり、数ヶ月、あるいは数年にもわたるエネルギー不足が出来するかもしれない。その場合には、経済に多大の損害をもたらすことになるかもしれない。

 したがって、東京電力が厳しく批判されるのも当然だろう。とはいえ現在の危機は、日本という国のエネルギー政策全体の失敗をあからさまに示している。電気代は法外に高い。発電所は政府が望む以上に地球温暖化をもたらすガスを放出している。日本は核燃料サイクルによって、原子力の自給自足を果たそうとする目標を達成できてはいない。そしていまや、原子力災害まで抱え込んでしまった。これは単なる東京電力の罪ではない。日本全体の罪なのだ。もし、この国がいっそう信頼に値するエネルギー戦略を求めるのなら、まずその国民的なレベルで失敗を認めるところから始めなくてはならないだろう。


(trad. TT&KO) 


参考
大前研一Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%89%8D%E7%A0%94%E4%B8%80
河野太郎が解説「日本のエネルギー政策」原子力発電 http://www.taro.org/
葉上太郎「原発頼みは一炊の夢か福島県双葉町が陥った財政難」www.iwanami.co.jp/sekai/2011/01/pdf/skm1101-3.pdf
核燃料サイクルWikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E7%87%83%E6%96%99%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB


☆デモ・集会のお知らせ☆ 次の大きなデモは4月24日!!
4/24 14:30〜 芝公園大規模デモ!
原発なしで暮らしたい100万人アクション in ヒロシマハノーバー庭園(旧広島球場北側 広島市中区基町)4/24 14:00〜 メイン集会 15:30〜 脱原発ピースウォーク

4/26 チェルノブイリ・デー!16:00新橋駅前、17:30経済産業省前行動、19:00〜 東電前抗議
4/26 チェルノブイリ25周年記念日(広島) 12:00 原爆ドーム前集合 12:30〜経産省 13:15〜県庁 14:15〜市役所 15:15〜中国電力本店前 18:30〜チェルノブイリ-ヒロシマ-フクシマ・キャンドルナイト

放射能除去処理計画に多くの未知数


The New York Times, April 16, 2011ニューヨークタイムズ 2011年4月16日
http://www.nytimes.com/2011/04/17/world/asia/17cleanup.html
 
By HIROKO TABUCHI ヒロコ・タブチ


東京 ― 福島第一原子力発電所の混乱した状況にまだ収拾がつかない現段階で、将来の放射能除去処理の契約を取りつけようと競う2つの巨大企業は、作業にかかる期間を10年、――ないし30年と見積もっている。

両社の見通しがこのように大きく隔たっている事実は、およそフクシマに関するあらゆる予測につきまとうもろもろの根本的な不確実さを物語っている。冷却装置がいつ修復され、放射能漏れがいつ収まるのか、作業員たちが原子炉の各部分に近づけるようになるのはいつなのか、また、原子炉、炉内の燃料棒、使用済み燃料棒の損傷はどの程度のものなのかといったことは、今もってはっきりしていないのだ。アメリカ合衆国原子力規制委員会は、少なくとも原子炉の一つで燃料が圧力容器から漏れ出た可能性があると警告している。

木曜日[4月14日]、日立を中心とする国際チームが出した見通しによると、福島第一原発の敷地で、技術者たちのいう「グリーンフィールド」【注】、つまり、すべての住民にとって放射能が法的基準値以下になった状態が回復できるまでに、少なくとも30年は必要だという。日本最大の原子炉供給企業である東芝は、10年で済む、としている。
【注】「グリーンフィールド」とは、「産業に利用されていた土地が、原則的に産業利用以前の条件に復帰した最終段階」を指す。以下を参照。http://en.wikipedia.org/wiki/Greenfield_status


日立、東芝の両社は、大きな原子力関連部門をかかえている。原子力に対する世界中の人々の不信を高めた今回の事故について、何としてもその収束のシナリオを描きたいようだ。放射能除去処理には数十億ドルがかかる見込みであり、そうなれば日立や東芝も収益を改善できるだろう。先週の両社の発表によると、震災による生産や供給の大規模な中断のため、年間の収益が当初の予想に届かない可能性が高い。

東芝佐々木則夫社長は、木曜日[4月14日]に記者らとの会談で、1インチはあろう分厚い提案書を手にしていた。今月、原子炉の操業主である東京電力に提出したもので、廃炉への工程を説明したものである。日立も、これと競合する計画を提出している。

この課題の規模と複雑さはかつてないものだ。爆発などもろもろの損傷を被った上に、メルトダウンを防ぐため海水を注入した福島第一原発では、4基の廃炉が確実となっているが、この4基はもちろん、日本ではまだ原子炉を完全に解体したことがない。同原発の残りの2基が最終的にどうなるかはまだ発表されていないが、こちらも廃炉になる可能性がある。

1979年のペンシルベニア州スリーマイル島の場合、事故は1基の原子炉だけで起きた。また、燃料棒が部分的にメルトダウンを起こしたとはいえ、燃料棒を格納する容器は破損しなかった。それでも、清浄処理は14年の歳月と約10億ドルの費用を要した(同発電所で稼働を続けている2基の原子炉は2014年に廃炉となる予定である)。

他方、1986年にウクライナチェルノブイリで起きた事故の復興作業は、技術者ができれば避けたい先例である。爆発と火災のため、放射性物質を含む大気中に巨大な煙が発生した後、作業員たちは爆発した原子炉を砂と鉛で覆い、最終的に、放射能の放出を食い止めるためにコンクリートで埋めた。このコンクリートで密閉した棺はまだチェルノブイリに残る。付近は居住不可能だ。

今のところ、日本の作業員たちはまだ、原子炉への水の注入――海水でなく真水になったが――を続ける一方で、高濃度の放射能汚染水が漏れるのを食い止めようとしている。さらに、汚染水を出さずに水を循環させるため、発電所の冷却装置復旧を急いでいる。

だが、難しい課題は残っている。木曜日[4月14日]、日本の原子力管理当局は原子炉の1つ[3号機]で温度上昇が見られるとした。強い余震も引き続き起こっている。原子力安全・保安院の西山英彦官房審議官は、福島第一原発では引き続き「難しい」状況が続いていると述べた。

それでも、佐々木社長によると、東芝の技術者たちは「数か月のうちに」原子炉は安定し、完全な冷却が再開できると見込んでいる。佐々木氏は、圧力容器を開けて燃料棒を取り除くまでに5年間、原子炉を解体し、発電所放射能を除去するのに少なくともさらに5年間かかるだろうと述べる。

東芝のチームには、同社が過半数株主となっている[アメリカの]ウェスティングハウス社や、有害物質の処理も手がけるエネルギー技術・サービス企業ボブコック&ウィルコックス社の技術者も含まれる。両社は、スリーマイル島の事故炉で廃炉にたずさわった。

日立の広報担当者イズミサワ・ユウイチ氏は東京で、[東芝の]10年という見通しはあまりに楽観的だと述べた。イズミサワ氏によると、日立の技術者は、10年だと核燃料棒を原子炉から取り出し、安全な貯蔵施設に移送するため核燃料輸送容器に入れるだけで精一杯だと見積もっている。

その後でようやく原子炉建造物の解体を始めることができ、さらに残存する放射能の除去をおこなうことになる、とイズミサワ氏は述べる。

日本第2位の原子炉供給企業である日立は、廃炉計画にたずさわる50人のチームを編成している。ジェネラル・エレクトリック社との合弁原子力事業もおこなっており、アメリカの原子力発電にかかわるエクセロン社やエンジニアリングのベクテル社とも協力している。

「基本的に、原子力発電所は内部から解体するのですが、内部はまだ非常に放射能が強い状態です」とイズミサワ氏は述べる。「日立としては、どのような技術を用いれば、すべてを[東芝のいうように]10年で終えられるのか困惑しています。」

東京都市大学原子力工学を担当する松本哲男氏は、原子炉解体の作業にどのくらいかかるかは、とりわけ核燃料の状態次第だと述べた。

松本氏はこう述べる。「まだ燃料棒の形状をとどめているのか。それとも溶融しており、大きな固まりになってしまっているのか。10年かかるかもしれないし、30年かもしれません。原子炉の中を見るまではわからないのです。」


[イジチ・ケンによるレポート]

(trad. SS)


参考:
世界で最新式の原子力発電所をつくれる技術をもっている会社は日立、東芝、三菱の三社。日本が世界のエネルギー産業をリードするhttp://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/75d6225cb1b34fb14462fca584fa72ec
吹き飛んだ将来の飯のタネ 東芝・日立は戦略見直しへhttp://diamond.jp/articles/-/11636?page=2
「会社はコスト優先」 原発の元技術者ら ネットで自己批判(元東芝技術者 後藤政志氏のコメント)http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/280370.html
日立と東芝福島原発廃炉作業計画をそれぞれ提出http://jp.wsj.com/Japan/node_221872
原発1兆円達成「遅れる」 佐々木則夫東芝社長
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110415/bsg1104150501000-n1.htm


☆デモ・集会のお知らせ☆ 次の大きなデモは4月24日芝公園!!
4/23(土)13:00〜 JR新橋駅SL広場で宣伝活動 14:00〜 東電前抗議 おひとりで参加 大歓迎!
4/24(日)14:30〜 芝公園大規模デモ!
4/26(火)チェルノブイリ・デー!16:00新橋駅前、17:30経済産業省前行動、19:00〜 東電前抗議

日雇いで放射能に立ち向かう労働者たち

http://www.nytimes.com/2011/04/10/world/asia/10workers.html?scp=3&sq=Japanese%20Workers&st=cse

The New York Times, 9 April 2011ニューヨーク・タイムズ 2011年4月9日
Hiroko Tabuchiヒロコ・タブチ


埼玉県加須発

 福島第一原発の敷地が激しく揺れはじめ、マサユキ・イシザワはその場に立っていることさえもできなかった。ヘルメットを片手に、彼は発電所第三号原子炉の横の労働者用控室から駆け出した。彼は他の労働者とともに、この付近で修理作業を行ってきたのである。煙突やクレーンが草のように揺れているのが見えた。誰もがパニックに陥って叫び声をあげていた、と彼は振り返る。

 55歳のイシザワ氏は発電所の中央ゲートに向かって走った。しかし、警備員が発電所敷地の外へ出ることを許してくれない。ゲートには車の長い行列ができ、ホーンを鳴らす運転者もいた。「IDカードを見せて」と警備員が言ったのをイシザワ氏は覚えている。警備員は彼が正当な退出手続きに沿うように求めていたのだ。警備員はさらに要求した。貴方の管理責任者はどこだ?

 「なに言ってるんだ」、イシザワ氏は警備員に怒鳴った。肩越しに振り返ると、水平線上に暗い影が見えた、と彼は言う。「津波が来てるのをわかってるのか」、再び怒鳴った。

 ようやく退避を許可されたイシザワ氏は原子力の専門家ではない。それどころか、事故を起こした発電所を操業する東京電力に雇用されてさえいない。彼は福島や各地の原発で大量の危険な仕事に従事している数千数万の不熟練で流動的な臨時雇いの労働者の1人である。彼らは相対的に高い賃金に惹かれて放射能とともに労働しているのだ。日本の原子力産業を規制する原子力安全・保安院の昨年の調査によれば、こうした契約労働者たちは全体で東京電力の社員の約16倍のレヴェルの放射能にさらされていた。そして、これらの労働者は福島原発の現下の危機を収拾する作業においてもまた、決定的な役割を担わされている。

 彼らは日本の労働力が二つの階層でできあがっていることを象徴する存在である。一流企業に雇われて高給を得るエリート階層がいる一方で、低賃金かつ雇用が不安定で、福利厚生も貧弱な低い階層の労働者がいる。こうした労働事情がこれらの労働者の健康を危険にさらしたばかりでなく、日本の55の原子炉の安全性を掘り崩したのだ、とする批判的な指摘がある。

 慶応大学の元物理学教員であり、原子力産業の労働条件の改善のため長年にわたって運動してきた藤田祐幸はいう。「これが原子力の隠された世界なのです。こうした労働者たちは危険な状況がある所ならどこにでも行けと命じられます。彼らにとって危険というだけでなく、原子力の安全にとっても危険なことです。」

 原子力安全・保安院によれば、日本各地18カ所にある営利目的の原子力発電所で働くおよそ83,000人の労働者のうち、88%は2010年3月で契約の切れる契約労働者だった。この期間、福島第一原発の契約労働者の比率は10,303人の労働者の89%だった。日本の原子力産業では、エリートを構成するのは、発電所を操業する東京電力や、その建設や維持にあたる東芝や日立といった企業で働く者たちである。しかし、こうした企業の社員の下には、契約労働者、下請け労働者、孫請け(下請けの下請け)労働者がおり、この階梯の下へ行けば行くほど、賃金も福利厚生も放射能に対する保護も低いレヴェルに落ちる。

 福島第一原発その他の原発で現在働いているか、働いたことのある6人ほどの労働者へのインタビューから浮かび上がるのは、原発関連の仕事を得る労働者たちの荒涼たる現実である。凄まじい熱に抗がって、モップや雑巾で原子炉の排水溝や使用済み燃料プールから出る放射能を除去する、監督官や技術者ないし東京電力の社員のために通路を清掃する、寒さの中で汚染された廃棄物を槽に入れる、等々。

 建築現場から雇われた者もいれば、収入増を求めて職についた地元の農民もいる。しかし、名前を明かすことを嫌がった多くの労働者によれば、それ以外は地元の暴力団によって仕事を斡旋されている。
彼らはいつ首切りを受けるかも分からないという恐怖に怯えており、雇用者とのトラブルを避けるために怪我をしてもそれを隠し、肌色の粘着性の包帯を巻いて切り傷やあざをごまかすという。

 原発での仕事の経験を持つ労働者たちが言うには、最も危険な場所では、放射線レヴェルがあまりにも高いので、単にバルブを開けるために近づく時でさえ順番で交代する。ほんの数秒もバルブをひねると、ストップウォッチをもった指導員が次の労働者に仕事を引き継ぐよう命じるのである。地震の際に稼働中だった3つの原子炉が自動停止した現在の福島第一原発でも、同様の作業が求められているだろう、と労働者たちは言う。

 「なにより大事なのは<パンク>を避けることだ」と、現在福島第二原発で働くある労働者は言った。<パンク>というのは英語のpunctureに由来する表現だが、それを避けるというのは、放射線量測定器が1日にさられてよい放射線量の上限である累積50ミリシーヴェルトを計測しないようにさせる、ということを意味する。「一度でも上限をこえてしまったら、もう仕事はないんだ」、とこの労働者は言った。彼は雇い主から首切りにあうことを恐れて、名前を出そうとはしなかった。


 タケシ・カワカミ(64歳)は、1980年代のこと、年に一度のメンテナンスのための稼働停止の際、タワシや雑巾で壁面の放射能をこすって洗い落すために、福島第一原発の第一号原子炉の使用済み燃料プールに上った時のことを回想する。労働者たちは皆、放射線レヴェルが累積摂取量の上限に達したらアラームがなるようセットされた計測器を身に着けていた。カワカミ氏がいうには、通常20分も作業はつづけられなかった。

 「もう耐えがたいものでした。マスクを着けるんですが、これが実にきついんです」とカワカミ氏は語る。「目がくらくらしてきます。自分がなにをしているのかさえ、わからなくなるんです。汗に溺れるかと思いましたよ。」

 1970年代半ば以降、約50人の労働者が、白血病やその他のガンを発症したために賠償を受けている。医療の専門家によれば、多くの元労働者たちが健康問題を抱えており、それはおそらく原発での労働によるのだが、直接的な関係を証明することはしばしば難しい。カワカミ氏は腹部および腸のガンと診断されている。

 労働災害の情報は、2010年10月に東京電力福島県庁に提出した安全性レポートにも繰り返し登場する。このレポートでは、事故の際にタービン棟を洗浄していた1人の契約労働者が、たまたま顔を覆っていたタオルを使用した結果、有害レヴェルの放射能にさらされたと述べられている。このことに対応して、今後は労働者が汗をふくために別にタオルを供与する予定である、と東京電力はレポートに記している。

 福島第一原発の電源を破壊し、いくつかの原子炉を一部メルトダウン寸前にまで追い込んだ3月11日の地震津波の後、ほとんどの日雇い労働者たちは発電所から避難した。以来、原発から戻ったこれらの労働者たちは、厳しくメディアから隔離されている。彼らの多くは労働者用の詰め所に収容されており、そこには報道関係者は立ち入れない。しかし、こうした労働者たちが今でも被災した発電所で大きな役割を果たしつづけていることを示すしるしはある。

 2週間前、放射能を含有した水に足を踏み入れて被曝した2人の労働者は、下請けで雇用された者たちだった。東京電力によれば、木曜日の時点で、21人の労働者たちが100ミリシーヴェルト、ないし緊急時の原発労働者に通常設定されている上限をこえる放射線レヴェルに累積でさらされている(この上限は、先月250ミリシーヴェルトに引き上げられた)。

 東京電力は、何人の契約労働者が放射能にさらされたのか、明らかにするのを拒んでいる。木曜日の時点で発電所に残っているおよそ300人のうち、45人が契約雇用だという。

 リスクに伴って増額された賃金に誘われて、日雇い労働者たちが発電所に戻るよう促されている。発電所から1マイル[1.6 km]ほどのところに住み、地震の翌日に同じ町の住民たちとともに避難したイシザワ氏は、先週、かつての雇用者から連絡を受けたという。オファーされた賃金は、福島第一原発でのわずか2時間の労働に対して1日約350ドル、かつての賃金の二倍以上にあたる。彼のかつてのチームには、日当1000ドルをオファーされた者もいる。発電所の状況の推移と当該の日に想定される放射能のリスクに応じて、オファーは変動する。今のところ、イシザワ氏は発電所に戻ることを拒んでいる。

 専門家が言うには、何年にもわたり、労働条件は改善されてきた。政府統計が示すところでは、1990年代には安全性の水準が向上した結果、労働者1人あたりの被爆量は低下したものの、2000年以降には数値は上昇しつつある。これは原子炉の老朽化による事故が多かったためでもある。さらに、1人あたりの被爆レヴェルを引き下げようとして、原子力産業で働く労働者の数が増えたために、同じ作業をより多くの労働者が遂行するようになった結果でもある。

 日本海に面した小浜にある建立1200年になる明通寺の住職 中島哲演は、1970年代から労働者の権利のために運動を続けてきた。1970年代といえば、この地方の電気会社が海沿いに原子炉の建設を始めた時期であり、現在では15の原子炉が存在する。1980年初頭、彼は日本で初の原発で働く日雇い労働者の組合を結成した。

 組合は発電所の操業者に対し19の要求をした、と彼は語る。たとえば、放射能被爆記録を捏造しないこと、安全上の手続きに関して政府の視察官に嘘をいうよう労働者に強制しないこと、等である。最大で180人以上の労働者が組合に属していた時期もあったが、まもなく組合の指導者たちは、ドアを蹴破って踏入り、家族に手を出すぞ、と脅す暴漢の襲撃を受けた、という。

 「彼らには正直に話すことは許されないのです」と中島氏は語った。「いったん原発に入ってしまうと、すべては秘密なのです。」

 先週、避難センターで煙草を吸っていた際に交わされた福島第一原発の労働者たちの話題は、専ら発電所に戻るかどうか、だった。ある労働者は、もしも仕事が見つかるものなら、建築作業の方がまだ安全だと思う、といった。「地面の穴なら見えるけどね、放射能は見えないんだから」とはある労働者のことばである。

 唯一人、名前を出すことを許可してくれたイシザワ氏は語る。「いつか原発に戻る日がかもしれない。まあ、よほど飢えてればだけど。」福島第一原発に加え、彼はこの地方の火力発電所や高速道路建設現場で働いたことがある。当分は原子力産業からは離れているつもりだという。
「仕事は必要だ、ただし安全な仕事がね」と彼は言った。


(trad. TK)

参考
避難した町 福島県双葉町→埼玉県加須市 笑顔と緊張の入学式http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110409-00000078-san-soci
藤田祐幸氏 慚愧の思いで語り直す福島原発事故 2011 3 28http://kayophils.blog.so-net.ne.jp/2011-04-06-2
中島哲演氏講演 原子力発電の問題2 原発反対の立場からhttp://www2.big.or.jp/~yba/japan/turuga02.html
「日本の原発奴隷」
http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm
隠された被曝労働〜日本の原発労働者〜http://video.google.com/videoplay?docid=4411946789896689299#


☆デモ・集会のお知らせ☆ 次の大きなデモは4月24日芝公園!!
4/23(土)13:00〜 JR新橋駅SL広場で宣伝活動 14:00〜 東電前抗議 おひとりで参加 大歓迎!
 4/24(日)14:30〜 芝公園大規模デモ! 4/26(火)チェルノブイリ・デー!16:00新橋駅前、17:30経済産業省前行動、19:00〜 東電前抗議

暗い歴史も怖かった

어두운 歷史도 두려웠다.
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2011/03/22/2011032202636.html

朝鮮日報(韓国) 2011年3月22日
鮮于正(ソヌ ジョン)


 東日本大地震でもっとも大きな被災地である仙台から出発して、原子力発電所の事故が起きた福島へ向かう途中、私は説明のできない不思議な気分になった。その気分は、放射能に対して感じる恐怖感とは別の陰鬱なものだった。


 それはある知人との電話が原因だったと思う。彼から「正力」という人物を知っているかと尋ねられた。正力松太郎は1923年の関東大震災当時、警察幹部だったという[注]。彼が「朝鮮人が暴動を起こす」という噂を流して、日本人は鬱積していた苦痛を「虐殺」というかたちで噴出させたのである。私が「また昔の話か」と文句を言うと、知人は「今度の大地震で爆発した原発も正力の遺産なんだ」と言った。私はその話を聞いて、陰鬱な気分になったのだろう。
[注:正力松太郎関東大震災当時、警視庁官房主事。]


 東日本大地震を取材するため日本に来る際、「先入観は持つべきじゃない」と思った。「過去を暴いて他人の苦しみを嘲笑う、醜い人間になっては絶対いけない」と思った。しかし、苦しみを宿命として受けとる日本の国民、そしてその国民の苦しみを着実に蓄積させている日本の政府に出食わしたとたん、私はうろたえざるを得なかった。関東大震災の時と何が違うのか?


 関東大震災の時、日本の政府は国民を助けることができなかった。それでも日本の国民は最後まで耐え忍んだ。当時の状況は、NHKの有名なドラマ「おしん」でうまく描かれている。「辛抱しなきゃ、頑張ろう」と言いながら、息子と一緒に三千里を避難していくおしんの苦難を見て、日本列島は涙を流した。西洋のメディアが関東大地震後の数日間を目撃することができたなら、現在と同じように「人類精神の進歩」だと報道したかもしれない。


 しかし、正力は「耐え忍ぶ美学」を信じてはいなかったのだろう。彼は、苦しみの積み重ねがどれほど過激な結果を生み出すか、人間がその苦痛の重さにたえかねて、それをどのように他人に転嫁できるのかをよく知っていたのだろう。日本の教科書はその時虐殺された朝鮮人の人数が6000人から7000人に及ぶと記述している。それは1995年の阪神大震災の死者総数に匹敵する人数である。


 私は現在の日本に正力のような人がいるとは思っていない。また日本の国民があやまちを繰り返すとも思っていない。現地で見た被災人ひとりひとりの行動はすばらしいものだった。だが、ただ耐え忍ぶのが最善ではないことは歴史が証明している。現在の日本は歴史を忘れつつある。韓国が[悲惨な]過去を忘れてもかまわないとしても、日本はそうではない。その暗い歴史を日本は忘れてはならない。


 正力は一生栄華を享受したとも言える。マスメディアを一手に引き受け 、プロ野球の礎を築いた。自分のあやまちを謝罪したことはない。彼が信念を持って日本に残した最後の業績は原子力発電所だった。原子力委員会の初代委員長、科学技術庁の初代長官として彼が築いた土台の上に今の原発が立っている。彼は日本で「原発の父」と呼ばれている。


 私は放射能も歴史も恐ろしく感じながら、福島を出た。悲劇的な偶然をとらえて因果関係を云々するつもりはまったくない。しかし、過去のあやまちを繰り返さないことができるのであれば、歴史の流れをもっと明るい方向に向けることができると思う。[…]


(trad. HY)



参考:

正力松太郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%8A%9B%E6%9D%BE%E5%A4%AA%E9%83%8E

有馬哲夫『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史―』(新潮社)
「一九五四年の第五福竜丸事件以降、日本では「反米」「反原子力」気運が高まっていく。そんな中、衆院議員に当選した正力松太郎讀賣新聞社主とCIAは、原子力に好意的な親米世論を形成するための「工作」を開始する。原潜、讀賣新聞日本テレビ、保守大合同、そしてディズニー。正力とCIAの協力関係から始まった、巨大メディア、政界、産業界を巡る連鎖とは――。」
http://www.shinchosha.co.jp/book/610249/

原発導入のシナリオ 〜冷戦下の対日原子力戦略〜http://video.google.com/videoplay?docid=-584388328765617134&hl=ja#

原子力発電を推進した元凶としての中曽根康弘正力松太郎 http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/148.html

原子力委員会http://www.aec.go.jp/

科学技術庁Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%91%E5%AD%A6%E6%8A%80%E8%A1%93%E5%BA%81

<悪玉>原子力を再発見  原子力を飼いならしたという幻想の終焉

http://ricerca.repubblica.it/repubblica/archivio/repubblica/2011/03/13/giapponesi-riscoprono-il-nucleare.html

La Reppublica 13 marzo 2011レップブリカ(イタリア)2011年4月13日
Renata Pisuレナータ・ピス



かつて日本人は自信に満ちていた。凶暴な原子力を飼いならし、無害にできるのは自分たちだけだと確信していたからだ。


日本人は、ヒロシマナガサキへの原爆投下によって悲劇的な「核戦争後」を経験し、放射線のいまだ知られざる効果によって傷を負い、汚染され、その被爆が世代を超えて受け継がれることで覚醒した、唯一の国民だった。だからこそ、おそらくは慢心からくる過大なオプティミズムも手伝って、日本人はエネルギー問題を永遠に解決するために、地震のたえない自分たちの国土に、数多くの原子力発電所を建設してきたのだ。そこには原子力の利用における過剰な大胆さと過剰な信頼があったばかりでなく、水素爆弾[原文ママ]によって被った大量殺戮をのりこえようとする誇り高い試みがあった。この凶暴な原子力を飼いならすことは、一種の失地回復と考えられてきたのである。しかし、その凶暴なものは彼らに刃向ってきた。しかも、かつてなく残酷に。


日本人の原子力エネルギーに対する態度を私に説明してくれたのは、埼玉大学の遺伝学研究室の長だった科学者・市川定夫であった。彼は原子爆弾が炸裂する2年前に生まれ、その後、原子力エネルギーの平和利用のもっとも熱心な支持者の一人となった。「私たちはみな、日本は原子力エネルギーによって苦しめられた世界で唯一の国だからこそ、これを最初に平和的な目的のために用いなければならないと信じていました。当時のデモでは、『核兵器はもうたくさんだ。エネルギーのために使おう!』といったスローガンが掲げられたのです。こうして日本では、人々の頭に、原子力エネルギー推進は平和主義的であるという観念が植えつけられました。欧米では、人々は、原子力エネルギーの軍事利用と民生利用の間に関係があることを知っています。しかし日本では、両者が結びつけられうるという事実、両者が実際に結びついているという事実が意識されることはありませんでした。私自身もこのことにまったく疑問を持たず、放射線が小麦の穂に与える影響の研究を始め、これを自分の使命と感じていました。原子力は、奇跡を起こすはずのものだったのです。」


しかし、奇跡は起こらなかった。ある小さな花のおかげで、市川は断固たる反原発論者、すなわち「緑」[政治的エコロジスト]になった。その花、ツユクサ放射線を浴び続けた結果、その色を青からピンクに変えていたのである。日本で稼働している55基のうち11の原発の近くで、市川は5年間にわたってこの花の種をまき、学生や主婦や年金生活者たちと一緒に観察した。その結果、すべての花がピンク色になったのだ。この小さな生ける放射線測定機は、目に見えない脅威をはっきりと示していた。「この花は突然変異体でした。こうして私は、原子力エネルギーには平和利用など存在せず、どんなふうに利用しようが危険だということを理解したのです。私たちはみな、変異体になりたいとでもいうのでしょうか。ひょっとすると私たちは、もうそうなっているかもしれないのですよ」。ツユクサの実験によって示されたこのような市川教授の考えは、原子力が一つの産業となり、システムの重要な一部となり、保守的勢力となり、そしてとりわけ巨大なビジネスとなった国においては、耳を傾けてもらえなかったばかりか、嘲笑されさえした。


日本での原子力事故の数々についてはあまり語られることがないけれど、実際上省庁並みの権力を持つ原子力安全・保安院も、日本で「原発ジプシー」と呼ばれている労働者に関する重大なスキャンダルを隠しおおせてはいない。この原子炉内部の清掃に従事する約2万人の人々は、下請け会社によって最長3ヶ月までの定期雇用を受けるが、さらにその会社が他の会社に業務を下請けさせるといったことを繰り返し、最後にはその追跡が不可能となるのである。すべての労働者が、放射線被ばくをコントロールするための認識票をもっているが、被ばく限度時間を超えた労働者が他の原発に「貸し出され」、新たな認識票を与えられることもある。誰もコントロールせず、労働者は名前を変えさえすれば足りるのであり、放射線に過度に被ばくしたために癌にかかったとしても、誰も責任を負わない。電力会社は原子力安全・保安院に対し、こうした人々については何も知らないと答えているのである(彼らは、これまで何度も同様の回答をしている)。


福島原発事故が起こった〕現在、原子力は再び悲劇としてうけとられている。日本人は軍用の放射線に襲われた「ヒバクシャ」とその子孫、つまり<悪玉>の原子力によって攻撃された人々と、平和な時代に原発という<善玉>の原子力によって攻撃された人々の間には、なんの[本質的な]違いもないということに気づくことになるだろう。今回、キノコ雲は見えなかった。そのかわりに見えたのは津波であった。


(trad. TM)



参考:市川定夫さん講演「放射性廃棄物『スソ切り』の本質と問題点」http://www2.gol.com/users/amsmith/koen.html
よくわかる原子力原発で働く人々」http://www.nuketext.org/roudousha.html
「日本の原発奴隷」http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm
原水爆禁止日本協議会 Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%B0%B4%E7%88%86%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8D%94%E8%AD%B0%E4%BC%9A
原水爆禁止日本国民会議 Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%B0%B4%E7%88%86%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%B0%91%E4%BC%9A%E8%AD%B0


今週末のデモ・集会

2011/4/16(土)

大阪・中之島公園原発いらん! 関西行動」15:30集会 16:10デモ出発www.jca.apc.org/mihama/annai/demo110416.pdf


東京・明治公園「脱原発社会を作ろう!」緊急デモ 11:30集合 12:00出発
http://civilopinions.main.jp/2011/04/48.html


東京・渋谷・神宮通公園「野菜にも一言いわせて!さよなら原発デモ!」14:00集会 15:00出発
http://beingb.com/yasaidemo/index.html


福岡・警固公園「ママは原発いりません」福岡パレード!14:00出発
http://stopgenpatsu.blog60.fc2.com/blog-entry-5.html


4月17日(日)

京都・三条河川敷「原発もうムリ!4.17鴨川・大風呂敷」
11:00〜日没http://genpatsumoumuri.seesaa.net/


新潟・石宮公園「卒原発デモ」13:30集合 14:00出発
http://www.world-walker.com/cgi-bin/koe2/read.cgi?no=58

フクシマ:汲みつくせぬ放射能汚染水(海洋汚染について)


Les Shadoks et l'eau radioactive
http://sciences.blogs.liberation.fr/home/2011/04/fukushima-les-shadoks-et-leau-radioactive.html

Libération Le 4 avril 2011リベラシオン 2011年4月4日


11000トン以上の微量の放射能汚染した水を太平洋に放出し、いっそう汚染のひどい水と入れ替える。

これが今日(4月4日)、日本政府と東京電力当局が選択した対策である。数日前から作業を妨害してきた放射能汚染水という難問を解決するために、本日からこの作業が開始される。

福島原発は水であふれている。とりわけ地下室、トレンチ、井戸など、低い部分では。その水は、まずは津波の水であり、それから事故を起こした原子炉と使用済み燃料プールを冷却するための放水から来る水であり、最後に「本来の」冷却系の一ヵ所ないし数ヵ所から漏れ出した、原子炉の炉心に触れた水である。いずれも放射能を帯びている。とはいえ、その度合いはさまざまだ。最後の種類の水はもっとも危険で、その近くではあらゆる作業ができない。この高度に汚染された水を海に投棄することなく、どのようにして処理するのか? そして海岸線の汚染というこれから来る問題を、悪化させないようにするにはどうしたらよいのか?

原発の敷地内には、平常時から「排液」を貯水するシステムが存在する。排液は、海中に投棄される以前に、放射能レベルの低下を待ち、樹脂によって濾過される。私が東京電力による不明瞭な広報発表をよく理解しているとすれば、海に放出されたのは微弱に放射能を帯びた水であり、その目的は、より放射性の高い水を保管プールに貯めることにある。東京電力によれば、この作業は5日間にわたるという。

この判断は、すでに高い放射線量が検出されている、原発付近の海域の放射能汚染からも理解可能である。フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)環境局長のディディエ・シャンピオンは、原発から300mの地点で、「最高10万ベクレル毎リットル」もの放射線量が確認されたと語っている。

この汚染はどのような影響をもたらすのだろうか? ディディエ・シャンピオンは次のように語る。「人間への健康被害に関しては、海洋への投棄は最優先課題ではありません。まず優先されなくてはならないのは、大気中の放射性降下物や農地土壌の放射能汚染です。汚染の影響は、発電所から見て北方の海岸海域に集中します。長期的には、津波によって壊滅した漁業と養殖業が活動を再開した時のために、海産物および海底堆積物に対する監視体制を整える必要があります。海底に生息する魚類や、より短期的にはヨードをよく吸収し蓄積する褐藻類[例えばコンブやワカメ]など、特定の生物種をよく注意して観察しなくてはなりません。さらに長期的な視点からすれば、もっとも重大なリスクは、海底でのセシウム137の沈殿です。」放射能汚染は、海岸線の潮の満ち干きのリズムにしたがって、ゆっくりと拡散・希釈されていくだろう。さらに沖合では、放射能汚染水は黒潮という大きな海流に乗って、太平洋に拡散・希釈されていく。

原子力発電所内では、冷却システムを再び機能するための作業が続けられている。そして、一群の技術者たちが放射能を帯びた土壌をブロックするために、特殊な樹脂の散布を試みている。政府の予測では、放射能汚染の源泉をすべてブロックするには、なお「数ヵ月」を要することになるだろう。


IRSNは最近になって、福島原発からの液体および気体の排出に起因する海洋汚染について、近隣の海域への拡散や、より大きなスケールで、黒潮による太平洋への拡散についてのシミュレーションを行い、これらについて包括的な報告文書を公開した。[…] その結論は以下の通りである。

「短期的には、福島第一原発の近隣の海岸地帯に面する海洋における食物連鎖の総体が、海水の放射能汚染による影響を受ける危険がある。現時点では、この影響の程度を定量的に計測することは難しい。以下の諸条件に応じて大きな変動がありうるためである。その諸条件は以下の通り。

原発からの排液の放射能強度と継続性
―大気から海水面への放射性落下物
―汚染された土壌から水脈によってもたらされる放射性物質
―沿岸の海域における海水総量の変化

原発付近の沿岸の海域における海藻類、貝類、魚類などの海洋生物を特に注視する必要がある。ただし、これらの海洋生物は、3月11日の津波で甚大な被害を受けた可能性が高い。日本での需要の大きい[コンブやワカメなどの]褐藻類は特にヨウ素との親近性が高い。そのため、ヨウ素131に代表される放射性ヨウ素による褐藻類の汚染の危険がある。とはいえ、放射性ヨウ素半減期が短いことを考慮すれば、この危険が続くのは数ヵ月間にすぎないだろう。

より長期的には、持続的な放射能汚染によって、海底の傾斜部から流された放射性物質を受けとることになる沿岸部の一帯が、影響を受ける可能性がある。

放射能汚染された沈殿物が混ぜかえされることで、海水中および特定の生物種において、ある種の放射性物質が高い濃縮度を維持しつづけることになる可能性がある。

特定の生物種の体内における蓄積によって、海水中における濃縮と比較して、より高度な濃縮がもたらされる可能性がある。生物種における濃縮は、海水中の濃縮に対して、体積比で10倍から数千倍までの割合で高くなりうる。この数値は、問題とする放射性物質と生物種にしたがって変化する。どれほどの蓄積が起こるかは、それぞれの生物種の代謝作用によってさまざまである。例えば、セシウムの場合、貝類と海草類の濃縮比が50であるのに対して、魚類では400となる。ヨードの場合は、魚類の濃縮比が15であるのに対して、海藻類は10000となる。こうした蓄積現象は、人間の食物連鎖に直接・間接にかかわる植物種および動物種における放射性物質の監視計画を必要とする性格のものである。この計画が適用される地理的な広がりは、予防的な観点を持って、地理学的な知見のもとに厳密に確定される必要があろう。」


Sylvestre Huet シルヴェストル・ユエ


(trad. AM)


参考:<JCJ声明>放射能汚染の拡散阻止へ叡智結集、真実の報道に全力を
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/580.html


今週末のデモ・集会
2011/4/16(土)
大阪・中之島公園原発いらん! 関西行動」15:30集会 16:10デモ出発www.jca.apc.org/mihama/annai/demo110416.pdf
東京・明治公園「脱原発社会を作ろう!」緊急デモ 11:30集合 12:00出発
http://civilopinions.main.jp/2011/04/48.html
東京・渋谷・神宮通公園「野菜にも一言いわせて!さよなら原発デモ!」14:00集会 15:00出発
http://beingb.com/yasaidemo/index.html
福岡・警固公園「ママは原発いりません」福岡パレード!14:00出発
http://stopgenpatsu.blog60.fc2.com/blog-entry-5.html

4月17日(日)
京都・三条河川敷「原発もうムリ!4.17鴨川・大風呂敷」
11:00〜日没http://genpatsumoumuri.seesaa.net/
新潟・石宮公園「卒原発デモ」13:30集合 14:00出発
http://www.world-walker.com/cgi-bin/koe2/read.cgi?no=58